心肺停止状態の傷病者を救え!枚方寝屋川消防組合が救急技術訓練の大会を実施

枚方寝屋川消防組合で救急隊員の技術及び知識を向上させ、救急体制の強化を図ることを目的にした「救急救命技術研修会本部大会」が12月14日(火)、実施されました。

大会には枚方・枚方東・寝屋川の各消防署から選抜された救急小隊(各小隊3人)が参加し、多くの署員が見学する中、付与された想定に基づき救急活動を行いました。

大会が行われた場所は、枚方市駅北口にある消防本部の多目的ホールです。

開会式で消防長が「今日消防を取り巻く環境は高齢化により多様化している」「今回の大会が救命率の向上やモチベーションの向上に繋がることを期待している」などと挨拶してから訓練が開始。

<訓練想定>
(1)窒息によるCPA(枚方消防署の救急小隊)
(2)虚血性心疾患によるCPA(枚方東消防署の救急小隊)
(3)呼吸器疾患によるCPA(寝屋川消防署の救急小隊)

<傷病者と通報者>
・傷病者:自宅で倒れた70歳男性
・119番通報者:妻

各救急小隊に付与された想定は、自宅でCPA(Cardiopulmonary arrest、心肺停止)に陥った傷病者を一刻も早く救命する訓練です。平たく言うと1つ目が昼食中に餅を喉に詰まらせたケース、2番目が心筋梗塞や狭心症により心臓に十分血液がいきわたらなくなったケース、3番目が呼吸器に生じる病気でCPA(心肺停止)に陥ったケースです。

※想定付与をしている様子
※資器材の選定をしている様子

CPA(心肺停止)に陥ると心肺蘇生が1分遅れるごとに救命率が下がるため、一刻も早い救命処置が求められます。

救急小隊が自宅(水色のエリア)に到着すると、訓練開始です。(各小隊が順番に訓練を行ったのですが、今回の記事では紙面の都合上同時にお伝えします。)

「救急隊です。分かりますか?分かりますか?」「呼びかけ反応なし」「通報された奥様ですか?状況を教えてください」の問いかけに対して、通報者が「急に餅を喉に詰まらせて…」(枚方消防署)、「急に胸を押さえて苦しみだして…」(枚方東消防署)、「急に呼吸が苦しくなって倒れた」(寝屋川消防署)などと返答。

傷病者の気道を確保して呼吸や脈拍を確認し、心電図モニターを繋ぐなどの必要な処置を進めます。

窒息の想定訓練(枚方消防署)は口腔内に異物があるのを確認し、喉頭鏡やマギール鉗子を使用して異物を除去。

3パターンとも時間の経過とともにCPA(心肺停止状態)になったため、直ちに胸骨圧迫と人工呼吸、AED(除細動器)のパッドの装着を開始。

※写真は比較的後半のものです。

AEDは心電図を自動的に解析して電気ショックの必要性の有無を判断する優れ物です。今回の訓練では解析の結果、虚血性心疾患の想定訓練(枚方東消防署)で心室細動(VF)の状態であったことから、電気ショックが与えられます。

電気ショックの実施後は直ちに胸骨圧迫が再開されました。

胸骨圧迫は大きな声で回数を数えながら速く、力強く、絶え間なく実施するわけですが、体力のいる作業であるためローテーションで交代しながら実施されている様子でした。胸骨圧迫を30回行うと、BVM(バックバルブマスク、手動式人工呼吸器)で人工呼吸を2回行う組み合わせです。

その後3パターンとも挿管チューブを使用し、気管挿管が実施されました。気管挿管は胸骨圧迫中や嘔吐物がある場合も酸素を安定的に供給できるメリットがあります。気管挿管は救急救命士の特定行為に当たるため、家族の同意とともに、医師の指示が必要です。

「もしもし、救急隊の○○です。特定行為の指示をお願いいたします。気管挿管と静脈路確保の指示です。」

※先生役

「○○という状況ですね、分かりました。挿管を行ってください。」「搬送の方もよろしいでしょうか。先生お名前は?」「△△です。」「△△先生。搬送時間は○○分ぐらいです。ありがとうございました。」

資器材を使用する際は、その度に隊員から「使用期限よし!」「汚れ変色なし!」「滅菌よし!」などの掛け声が上がります。絶え間なく胸骨圧迫を続ける人、家族に説明する人、資器材の準備をする人などの分担が的確で、3小隊ともチームワークはばっちりでした。

続いて点滴・薬剤投与を行います。こちらも救急救命士の特定行為に当たり、先ほどと同じように医師の指示を仰ぎます。

「△△先生。アドレナリンを投与したいのですが、よろしいですか?」「先ほどの傷病者ですね。心電図波形を確認した上で実施してください。」

アドレナリンの投与には冠動脈(心臓に栄養や酸素を送る血管)に重点的に血液を送り込み、心拍再開の可能性を高める効果が期待できます。

「今飲まれているお薬などはありますか?」などと確認した後、家族の方に点滴の袋を持ってもらう場面も見られました。

「針刺します」「投与。クレンメ解放、滴下良し。漏れ腫れ無し」「家族さん、心臓に作用するお薬を投与しましたので、もう少しお待ちください。」

隊員からは「今から搬送準備しよう」「バイタル取ろうか」「心臓が動き出しました」「血圧100の60」などの声が。「家族さん、高度救命救急センターに搬送しますね。」

「搬送開始!」という掛け声で担架を持ち上げたところで、救急小隊の訓練は終了です。会場の署員からは拍手が贈られました。

素人には3パターンの違いがよく分からなかったので、説明不足な面もあるかと思いますが、どれもテキパキと救命処置を続けていて、とても頼もしかったです。

最後に行われたのが閉会式です。

消防長が表彰状を授与。続いて警防部長からの講評があります。

・大会が新型コロナウイルスの影響で延期になっていた。消防担当、救助担当の大会は開催できていたので、救急担当の大会も無事に開催できて嬉しい。
・最前線の活躍を目の当たりにして感動した。日ごろの訓練の成果が見られたと思う。
・引き続き救急技術及び知識を向上させてもらいたい。

消防は体育会系で厳しいイメージがあるかもしれませんが、とてもポジティブな講評でした。

参加者が集まって写真撮影をして大会は終了です。

今回の大会で隊員の訓練になったのはもちろんのこと、見学したことにより勉強になりました。倒れている人を見かけたら、躊躇なくAED(一般の人も使用可能)を使用するようにしたいものですね。

【地図】枚方寝屋川消防組合消防本部

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