対面鉄板焼から非対面のレストランカフェへ。時代に合わせて進化する「ハンバーグのお店」【ねやつーコラボ】

北大阪商工会議所×ねやつー

地区内における商工業の総合的な改善発展を図り、社会一般の福祉の増進に資することを目的としている商工会議所と、寝屋川の地域情報を日々発信している寝屋川つーしんのコラボ企画!

北大阪商工会議所。

一度は聞いたことがある人が多いとは思いますが、「一体何をしているのか?」「どんな企業が参加しているのか?」といったことまで知っている人となると数はぐっと減るのではないでしょうか。

少しでも身近に感じていただけたらと、北大阪商工会議所に入会されている企業を月に1度のペースでご紹介していきます!

過去のコラボ記事一覧

今回のNijiriguchiの主人公は、株式会社ザ・テーブルの黒田一郎氏。
寝屋川市香里園の「きゅうろく鉄板焼屋香里園店」など2店舗を展開。おいしい鉄板焼とハンバーグをリーズナブルな価格で提供している。

店名である「きゅうろく」にちなんで9月6日にはハンバーグを96円で96食提供するなど、個性的なサービスで一気に認知度を高めた。

鉄板で焼かれるステーキやハンバーグは高級なイメージがあるが、誰もが利用しやすい価格でしっかりとお肉本来の味を楽しめると人気だ。

コロナ禍の2021年には、枚方市田口に新形態の「GOCHIHAN96 Hamburg &Coffee hirakata」をオープン。時代に合わせて進化を続ける黒田氏の熱き思いに迫る。

商売がしたい!きっかけは飲食店でのアルバイト

黒田氏の父は公務員だ。安定した給料で家族を養ってくれた父。感謝の思いを抱きながらも父とは全く違う「商売」への思いが兆したのは高校生の頃だった。

きっかけは、アルバイト先の飲食店のオーナーの一言。飲食店の魅力をこう説かれたという。

「店の内装やBGM、制服も自分で好きなように選べる。何より、料理の仕入れから製造、営業に至るまで、全てに携わることができる。その上、お客さんから直接お金をいただいて、『ありがとう!』とまで言ってもらえる。こんな良い仕事ほかにはない」と。

いつか飲食店を起業しようと、調理の専門学校を進路に選んだ。
専門学校卒業後は、三重県の志摩観光ホテルに就職。のちにG7サミットの会場にもなるほどの老舗ホテルだ。

実は当時、サーフィンにも夢中だったという黒田氏。
志摩観光ホテルに就職すればサーフィンをしながら本格的な料理も学べるのではないかと目論んでいた。

しかし、ホテルは想像を超えるほどの厳しさだった。日焼けも厳禁、サーフィンは全くできなかった。

黒田氏はそこで2年間、修行を積んだ。そして21歳の時、休暇で訪れた宮崎県の魅力にとりつかれた。街と海が融合している環境に感動。
ホテルを退職し、宮崎への移住を決断した。

新たな職場は、フレンチ出身のマスターが料理をするバーだった。

自家製スモークなどこだわりの料理、また、お酒は500~600種類が並ぶような本格派のバー。そこで働く中で、黒田氏はマスターの客本位の姿勢に感銘を受ける。そして「対面接客」の面白さを感じるようになり、良い料理・良いサービスを届けたいと思うようになっていった。

やっと辿りついた起業

ここでついに起業かと思いきや、黒田氏は海外を転々とする。

ワーキングホリデーで1年ほどオーストラリアで過ごし、学生時代からハマっていたサーフィンに明け暮れる。

その後もフィジー、アメリカ、インドネシアでサーフィン中心の生活を2年ほど送った。
この間も仕事は一貫して飲食業に携わっていたそうだ。

27歳の頃に地元への思いが強くなったという黒田氏。帰国し京阪沿線の飲食店に就職した。5年間、調理だけでなく、店の管理、従業員の教育などを幅広く経験した。

そして2007年7月。ついに起業の時を迎える。

業種はこれまでの経験を活かし、肉で勝負し、かつ対面接客ができる「鉄板焼き」に決定。

鉄板焼きの経験はなかったが、フレンチでステーキを焼いていた時の経験で勝負をしようと思った。
そして寝屋川市八坂町に「きゅうろく鉄板焼屋寝屋川本店」をオープンした。

滑り出しは順調で、自分で汗をかいた分、自分の売上になる達成感があり、スタッフと共に過ごす日々が充実していたという。

「苦労と言えるような苦労はなかった」という黒田氏。
オープンから3か月が経った頃のエピソードは忘れられないという。

台風による大雨で客が来ない日があった。
客が来なくても店を閉めることはしたくないと考えていた黒田氏だが、その日は建物がギシギシするくらいの豪雨。

店を閉めようと思った時に1組の夫婦が入ってきた。
「なんや、お店ガラガラやな。今帰ろうと思ってたやろ?見たら分かるで。ご飯食べて行きたいねんけどいいの?」と言われた。

料理を提供すると、「こんなところで鉄板焼きなんて流行らない。何かちゃうことした方がええんちゃう?」と言われた。
この一件が黒田氏の心に火をつけた。

驚きのサービス、9月6日「きゅうろく」の日

店名の「きゅうろく」は、黒田の黒=96から発想されている。
鉄板焼きの敷居の高いイメージをなくしたいという思いも込められている。

認知度を上げるために始めたのが、9月6日の「きゅうろく」の日に打ち出したサービスだ。当時ランチで出していたハンバーグは980円。

「きゅうろく」にちなんで960円にしようかと考えたが、それではきっとお客様は満足しない。
それなら思い切って『96円』にすることにした。

もちろん大赤字だ。
だが、それでもお店のハンバーグを食べるきっかけになればいいと考えた。

96の絶品ハンバーグ

初めてのきゅうろくの日、96円で50食を準備する計画。
2ヶ月前からポスティングや他店にチラシを置いてもらい、告知に力を入れた。

迎えた当日。
50人を超える客が列を作っていた。

しかし一方で、常連客からは「毎日お店に来ているのに96円で食べられなかった」という声も上がった。

そこで翌年からは更に数を増やし、「96円で96食」のハンバーグを作るという企画に変えた。

その後きゅうろくの日には、開店の2時間前から行列ができるようになった。
この行列が更なる評判を呼び、「ハンバーグといえばきゅうろく」と言われるまでになったのだ。

その後店舗数が増え、最大時には寝屋川、香里園、梅田、枚方の4店舗できゅうろくの日を開催した。

コロナが直撃、「ハンバーグのレストランカフェ」に

2020年からのコロナの感染拡大。
酒の提供にも力を入れていた中で、店は壊滅的な影響を受ける。

「きゅうろくの日」も、感染対策で並ぶことができなくなったため来店者に次回使えるハンバーグ無料券を配布する形式に変更した。

一方で、新たな発見もあった。

弁当は好調で、ランチでもハンバーグはよく売れた。そして黒田氏は「ハンバーグだけを食べるお店があってもいいのでは」と考えるようになる。

閉店していた枚方市駅前の店舗の代わりに、スタイルを変えて出店しようと決断。

コンセプトは、子どもから大人まで楽しめる「ハンバーグのレストランカフェ」とした。カフェ業態は、コロナ禍でも絶好調だったからだ。

場所は、お酒を飲む店ではないため、ロードサイド。
駐車場も広い場所で探し、見つかったのが、枚方市田口山の店舗跡地。

「ごちそうハンバーグ」の略で「GOCHIHAN96」を2021年5月にオープンした。

店の形式も大きく変更した。
これまでは対面接客にこだわっていたが、初めて客席が見えない場所に厨房を構えた。

開放的でおしゃれな店内

黒田氏は、従業員への教育にも力を抜かない。

「100食作ったうちのたった1食、盛り付けが少し変だったとして、我々にとっては100分の1かもしれないが、その100分の1の失敗した1食を購入してくださった方にとってはそれがすべて。だから、一つ一つの料理に対してお客様が喜ぶ顔を考えて作ってほしい」と常に伝えている。

時代に合わせた店づくりを

当商工会議所は、キャリアアップ助成金の申請にあたり支援。

黒田氏は、「商工会議所は、地域のために色々とされている。私も、最近は地域の集まりにも積極的に参加していて、関わりが持てれば」と話す。

黒田氏は、「ブラックと言われる飲食業界を変えたい」という強い思いを持っている。

その思いは変わらないが、コロナをきっかけに変わったこともある。

以前は、店をどんどん増やしたい、そして従業員に店長を任せて、将来譲ることを考えていた。

今は、店を乱立させると人手不足に陥るため、増やすというよりは、必要な店舗を絞って作っていきたいと考えている。

一つは、規模の大きい店をたくさんのスタッフでやっていく。
一方で、セルフレジやモバイルオーダーを導入して、人やコストを減らした店舗。
両方を存続させるのが今の目標だそうだ。

そして、「お客さんにももちろんきゅうろくって良いお店だと思ってもらいたいし、従業員にもきゅうろくに入って良かった』『長く勤めたいと思ってもらえるお店にしたい」と語る。

コロナ禍が続く中でも試行錯誤を重ねながら、お客様においしい料理と最適のサービスを届けようとする黒田氏。
今後の更なる活躍に期待したい。

株式会社ザ・テーブル
〒573-0001
大阪府枚方市田口山2-31-1
TEL:072-807-6536
公式サイト


北大阪商工会議所×ねやつーのコラボ企画は今回が最終回となります。
1年間ありがとうございました!!

今後もアーカイブサイトや北大阪商工会議所の会報誌にてご覧いただけますので、チェックしてみてくださいね。

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