京阪電鉄寝屋川車庫で行われた「車内で刃物やガソリン」の想定訓練。多発する傷害事案に対する対応力を強化

京阪電鉄寝屋川車両基地(木田元宮2丁目)で電車内での傷害事案を想定した訓練が11月26日(金)、実施されました。

この訓練は乗客を標的にした殺傷事件が鉄道で発生していることをうけ、京阪電鉄、寝屋川警察署、鉄道警察隊の3者が合同で非常時の対応力を高めるために企画されたものです。

訓練は車庫内の回送電車を使って行われました。

はじめに京阪電鉄の人から報道陣に向けて車内設備が説明されます。

訓練に使用した車両(13000系、6両編成)の場合、車両の端の座席下に消火器があります。消火器の種類は家庭に置かれているものと同じで、車両火災が発生した時の初期消火に有効です。

こちらが乗務員に異常を知らせる通話型の通報装置です。京阪線の車両の約80%に設置済みとなっています。

非常時は乗客に通話をする余裕がないことが予想されるため、複数の非常ボタンが同時に押された場合、緊急事態が発生したとみなして最寄り駅に停車してドアを開放する手順が事件後国土交通省から示されています。

他にも13000系には1両に3ヶ所(ドア上部)防犯カメラが設置されています。現在京阪線の車両の導入率は8%(大津線も含めると7%)に留まりますが、新型車両の導入に合わせて設置を進めていきたいとのこと。

続いてロールプレイング訓練の様子をご紹介します。様々なシーンを想定し、報道陣がいた時に行われたのは2パターンです。

1パターン目は、車内で突然刃物を持った人が暴れ出し、乗客を刺しながら他の車両に移動するというものです。

小田急線や京王線の事件と同じように、犯人が可燃性の液体(今回はガソリンを想定したペットボトル)を車内に撒きます。

車内に非常ボタンの音が鳴り、車外には黄色いランプが点灯。

しばらくすると通報を受けた警察官が駆けつけ、

犯人役と対峙。

犯人役を確保〜!犯人がどこに移動するかは事前に明かされなかったので、臨場感がありました。(代わりに同じ条件の訓練を報道陣が撮影できるようにもう一度実施)

続いて2パターン目は、犯人が電車内に籠城するようなケースです。

刃物を持った犯人が突然「殺してやる!」と言って暴れ始め、

乗客役を刺して放火を試みるのは同じですが、

途中で犯人役が「もうどうでもええわ!」と叫び、座席に座り込むという違いがありました。

駆けつけた警察官が両側のドアから「こっちへ来い!」と呼びかけると、犯人役は「なんで行かなあかんねん!」「お前らが来いや!」などと応戦。

ホーム上の警察官は電車内の様子を無線で知らせます。

別の場所では警察官が被害者役に「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」と声かけ。

すきを見て警察官が犯人役を取り抑えにかかると、あっという間に制圧されました。

乗客を安全な場所に避難させるのはもちろんのこと、警察官の受傷リスクを低くすることも重要であるため、状況(犯人が落ち着いている、火の手が上がっていないなど)によってはすぐに取りおさえずに距離を保って投降を呼びかける場合もあるようです。

訓練後の囲み取材では、京阪電鉄の人と寝屋川警察署地域課の方から話を伺うことができました。

「受賞事案の発生時には乗客の避難誘導、犯人の確保、負傷者の救助が必要だが、警察と鉄道会社の連携が重要になる」「毎年テロを想定した訓練を行っているが、今後は車内の傷害事案を加味して行っていく予定」などのコメントを聞くことができました。

今回の訓練では警察官らが報道陣とは反対側のドアから出入りしていたので、情報伝達の手順や細かい動きなどが詳しく確認できなかった点があるのですが、それでも実践的な訓練を間近で見ることができ、有意義だったと思います。

【地図】京阪電鉄寝屋川車庫

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